DigiaのQt事業部、Qt開発に専念する完全子会社として分社化へ

 フィンランドDigiaは8月6日、Qt事業部を分社して、Qt開発に専念する独立した会社を立ち上げる計画を発表した。Qtエコシステムを集約し、オープンソースプロジェクトと商用製品としてのビジネスとのバランスをとるためと説明している。

 QtはノルウェーTrolltechが開発したクロスプラットフォームのユーザーインターフェイス/アプリケーション開発ツール。その後TrolltechをフィンランドNokiaが買収、Nokiaの傘下となった。2012年8月、Nokiaの戦略変更を受けて、ソフトウェア開発企業のDigiaがNokiaから取得している。

 今回の分社化について、QtのCTOであり、オープンソースプロジェクトであるQt Projectのメンテナー責任者も務めるLars Knoll氏は、オープンソースプロジェクトとしてのQtと商用製品としてのQtは相互に依存するものでありながら、インストーラーやパッケージが異なるなど乖離しつつある現状を述べ、このような分断について「エコシステムに悪い影響を与えており、競合する技術やツールに対するQtの位置付けを分かりにくくしている」とした。分社化の目的としては、Qtの開発にフォーカスし、一貫性のある技術と製品を提供するためと説明している。

 今後はQtのパッケージを統合し、オープンソース版とエンタープライズ(商用)版の両方のユーザーが利用できる単一のインストーラーを用意するという。これによりリリースプロセスが簡素化され、オープンソース版からエンタープライズ版へのマイグレーションも容易になるという。

 また、エンタープライズ版Qt向けのWebサイトであるqt.digia.comを削除し、qt-project.orgからのコンテンツとともに単一のWebサイトにマージする。ここでは、商用版とオープンソース版の両方について、包括的にQt技術を把握できるようにするという。

 この計画は6月に開催した貢献者向けイベント「Qt Contributor Summit」で議論されており、10月に予定している次期版「Qt 5.4」までに最初の成果を披露する計画だ。

フィンランドDigia
http://www.digia.com/

Qt Project
http://qt-project.org/