64ビットUbuntu上でVirtualboxを使う

 InnotekのGPL版Virtualboxを使うと、PCの実オペレーティング・システムの内部に仮想運用環境を作ることができる。私は数か月間前からUbuntu 7.04が動作する32ビット・ノートパソコン上で使っているが、印象的なソフトウェアだ。だが、自宅で主に使っているPCにはUbuntu 7.04 Feisty Fawnの64ビット版が入っており、64ビットOSをサポートしていないVirtualboxは使えなかった。しかし、今月になって64ビット版が登場、私が試用したところでは32ビット版と同様に快適に動作した。以下、その試用を報告する。

 私は、仮想化を利用して、主たるOSを終わらせずにライブCD Linuxディストリビューションを試用することのできるテスト環境を作ることにした。仮想環境であれば、OSのスクリーンショットを取るなどの作業が簡単になるからだ。MandrivaやFedoraといった人気のあるLinuxディストリビューションの新しいリリースを試用してみたいという事情もあった。

 Virtualboxの試用に使ったパソコンは、RAM 1GBとNVIDIA GeForce 7300GSビデオ・アダプターを搭載したAMD Sempron 2800+搭載デスクトップ。UbuntuへのVirtualboxのインストールでは、公式サイトにある手順に従い、APTを利用した。手順は以下のとおり。

 まず、次のコマンドにより、Innotekのリポジトリーをsources.listファイルに追加する。

sudo su -c 'echo deb http://www.virtualbox.org/debian feisty non-free >> /etc/apt/sources.list'

 次に、ダウンロードしたアプリケーション・ファイルを検証するためのセキュリティー・キーをインポートする。

wget -q http://www.virtualbox.org/debian/innotek.asc -O- | sudo apt-key add -

 そして、プログラムをインストールする。

sudo apt-get update && sudo apt-get install virtualbox

 このインストール方法には欠点が1つあった。vboxusersグループまではインストーラーが自動的に作ってくれるが、ユーザー名は自分で追加しなければならないのだ。vboxusersグループのメンバーには、Virtualboxを実行するために所定のパーミッションを設定しておく必要がある。

試用

 最初に、Virtualboxの最新リリースをMandriva 2007 SpringとFedora 7で試用してみた。どちらにも、ライブGNOMEインストーラーCDがある。まず、VirtualboxのNew Virtual Machine Wizardを使って各OS用の仮想マシンを用意する。どちらも、仮想RAMは256MB、仮想ハードディスクは5GBとし、動的に拡張可能なハードディスクとした。こうすると、最初は0MBだが、ゲスト・オペレーティング・システムの必要に応じてサイズが大きくなる。

vbox_thumb.png
Virtualbox(クリックで拡大)

 VirtualboxではISOイメージをCDに焼く必要はない。イメージを直接マウントできるからだ。したがって、MandrivaやFedoraのライブCDを起動するのは簡単だ。どちらのインストールも、物理PCにインストールするときと同じように直ぐに終わった。ただし、インストーラーによるCDの取り出しリクエストは何もエミュレートされていないらしく、この点だけは少々うっとうしかった。というのは、Fedoraのインストールが終わり仮想マシンがリブートすると、またインストーラーに戻ってしまうのだ。仮想マシンを手作業で終わらせ、インストールされたOSが起動されるようにISOイメージのマウントを無効にしなければならなかった。この方法でLinuxをインストールするのは今では普通のことなので、Innotekはインストーラーのリクエストに応じてISOイメージのマウントを自動的に解除する方法を提供すべきだ。

 MandrivaもFedoraも問題なく動作した。オペレーティング・システムを物理ディスクにインストールしたときと――まったく同じではないにしても――ほぼ同じように動く。私が使った限りでは、現時点で、これほど快適に動く仮想化技術はほかにない。

 私のPCに装着しているビデオ・カードはCompizなどの3D機能を強化したデスクトップの実行に必要な最小要件を上回る性能を持っているので、VirtualboxでMandrivaの3D効果が使えなかったのにはガッカリした。しかし、私が試用したことのある仮想マシンはいずれもハードウェアでアクセラレートされたグラフィックスを扱うことはできなかった。したがって、Virtualboxも例外ではなかったということにすぎない。

 Fedoraの場合、ディスプレイの解像度に関する厄介な問題があった。解像度を1024×768に設定し、正常に設定できた旨のメッセージが表示されていたにもかかわらず、800×600を超える解像度にならないのだ。xorgの構成ファイルと格闘してみたが解決しないため、VirtualboxのGuest Additions(ゲスト・オペレーティング・システム用の追加ソフトウェア・ドライバー)を試してみることにした。この機能を使うには、今動いているカーネルのソース・パッケージと開発ツールをインストールしなければならない。しかし、この問題が解決できるならお安いご用だ。そして、Guest Additionsをインストールすると新しい機能が使えるようになった。たとえば、ゲスト・オペレーティング・システムに完全なコントロールを渡さなくても、マウスが使えるようになる。

 また、VirtualboxがRemote Desktop Protocol(RDP)をサポートしている点も興味深い。これは、ネットワーク上に仮想マシンを置き、ほかのコンピューターからそのマシンに接続できるということだ。これを利用して次のような環境を作ると便利だ。まず「仮想サーバー」をデスクトップ上に現れないようにセットアップしておく。そして、「仮想サーバー」がタスクを自動実行するように設定する。こうすると、画面の一角が塞がれずに済む。

まとめ

 欠点もいくつかあるが、それを除けば、いずれのOSについても問題なく動作する。インターネットの閲覧も、電子メールのチェックも、3Dアクセラレーションなしのゲームも期待どおりに動く。いずれのOSも、実のPCにインストールされているかのように快適に動作した。

 Virtualboxは見事なソフトウェアだ。VMwareなどのソリューションに見られるような多くの機能がない代わりに、高額の値札もない。一通りの基本機能を持つ個人向けの仮想化アプリケーションがほしいならVirtualboxがよいだろう。

Jeremy LaCroixは、技術系の趣味人、ITの達人。空いた時間を使って執筆している。

NewsForge.com 原文