Tiny Tiny RSS:とても便利なRSSリーダー

 Tiny Tiny RSS(TT-RSS)は、小さくて優れたウェブベースのRSSアグリゲータだ。TT-RSSは軽量であるにも関わらず、AJAX化されたインターフェース、マルチユーザモード、タグ、コンテンツフィルタ、モバイルデバイス用の軽量インターフェースなど多くの気の利いた機能を備えている。

 TT-RSSにはインストール用のスクリプトが含まれていないものの、インストールは簡単に行なうことができる。まず始めに、PHPやデータベースエンジン(PostgreSQLかMySQLのどちらか)など、必要なプログラムがあらかじめウェブサーバにインストールされていることを確認しよう。また、MySQL用のphpMyAdminまたはPostgreSQL用のphpPgAdminといったデータベース管理ツールもあるとよいだろう。

 それではまず、TT-RSSの最新パッケージをダウンロードして展開し、作成されたディレクトリの名前をtt-rssなどに変更しよう。次に、データベース管理ツールを使ってデータベーススキーマをインストールする。このためにはtt-rssディレクトリ内のschemaディレクトリにある、適切なSQLスクリプト(例えばMySQLの場合はttrss_schema_mysql.sql)を実行する必要がある。データベースの準備が終わったら、config.php-distをconfig.phpというファイル名に変更してテキストエディタで開き、データベース接続に関する設定を行なう。その後、tt-rssディレクトリ全体をウェブサーバにアップロードし、ウェブブラウザからhttp://yourserver/tts-rss/にアクセスする。すべて正しく行なうことができていれば、TT-RSSのメインウィンドウが表示されるはずだ。

 当然ながら最初に行なうことは、TT-RSSにお気に入りのRSSフィードを登録することだ。そのためには、メインウィンドウの右上端にある「Actions(操作)」ドロップダウンリストから「Preferences(設定)」を選択し、「My Feeds(ユーザフィード)」タブをクリックする。フィードの登録は、「Address(アドレス)」フィールドにURLを入力して「Subscribe(購読)」ボタンをクリックするという方法で一つ一つ登録することもできるが、TT-RSSはOPMLファイルをサポートしているので、手元にある既存のフィードリストをすべてまとめてインポートすることもできる。

ヒント: TT-RSSはデフォルトでは各フィードのアイコンを取得するようになっており、そのようなアイコンがあることで、TT-RSSの見掛けが全体的に楽しいものになっている。しかしフィードにアイコンが用意されていない場合には、TT-RSSはその代わりにデフォルトの空のアイコンを使用する。このデフォルトのアイコンが気に入らない場合には、TT-RSSがインストールされている場所のimagesディレクトリ内にあるblank_icon.gifファイルの画像を好みの画像に置き換えるだけで、アイコンを簡単に変更することができる。

TT-RSS
TT-RSS(クリックで拡大)

 フィードをインポートし終えたら、それらのフィードを管理しやすくするためにカテゴリごとに分類することができる。「Edit categories(カテゴリの分類)」ボタンを押すとダイアログウィンドウが表示されるので、それを使用してカテゴリを自由に作成することができる。フィードをカテゴリに分類するには、フィードを選択後、カテゴリを指定して、「Recategorize(再分類)」ボタンを押せばよい。

 「コンテンツフィルタ」は複数のフィードを見張るのに便利な気の利いた機能で、指定した条件に合った場合に特定の操作を行なうフィルタを作成することができる。そこで例えば、(TT-RSSはタグ付けをサポートしているので)OpenOffice.orgに関連した記事のすべてに「openoffice.org」というタグを付けるフィルタなどを作成することができる。そのためにはまず「Content Filtering(コンテンツフィルタ)」タブをクリックし、「Create filter(フィルタの作成)」ボタンを押す。するとダイアログウィンドウが表示されるので、それを使用して以下のような感じでフィルタを定義する。

Match: openoffice.org
On field: Title or Content
Feeds: All feeds
Action: Assign tags
Params: openoffice.org
Options: Enabled

 また、TT-RSSのデフォルトの設定に満足できない場合には、「Preferences(設定)」タブを通して設定の変更を行なうことができる。利用可能になっているオプションの大部分は説明するまでもない分かりやすいものであり、それ以外のより高度な設定については簡単な説明が添えられている。「Preferences(設定)」タブでは、フィードを取得する時間間隔を指定したり、インターフェースのテーマを変更したり、日付の表示形式を指定したり、新着記事の一覧を電子メールで通知する機能を有効にしたりすることができる。またこの「Preferences(設定)」タブではラベル(Labels)機能を有効にすることもできる。ラベル機能を使用するためには、config.phpファイル内のGLOBAL_ENABLE_LABELSの値を以下のようにしてtrueに設定する必要がある。

define('GLOBAL_ENABLE_LABELS', true);

 ラベルというのは、仮想的なフィードとしてふるまうSQLクエリのことだ。TT-RSSには最初から、Unread articles(未読記事)とUpdated articles(更新記事)という2つのデフォルトのラベルが含まれている。それらに加えて独自のラベルも「Label Editor(ラベルエディタ)」タブ内の「Preferences(設定)」で作成することができるが、これはまだ実験的な機能であり、また、SQLを自分で書くことができるだけの知識も必要となる。

 他のRSSアグリゲータと同様に、TT-RSSの使い方は簡単で分かりやすい。左の枠内には、フィードと(ラベルが有効になっていれば)ラベルがすべて表示される。「Display tags(タグ表示)」というリンクをクリックすると、タグ表示へ切り替えることができる。一方右側の枠内には、その時点で選択されているフィードからの記事が表示される。TT-RSSでは各RSS記事に星付けを行なうことができ、星を付けた記事は左の枠内の「Starred articles(星付き記事)」セクションに表示される。またTT-RSSでは、その時点で表示されている記事に対してタグ付けを行なうこともできる。さらにTT-RSSの検索機能を使うとフィード全体に対して検索を行なうこともできる。なおTT-RSSはキーボードのショートカットをサポートしているので、マウスを使わずにフィードを閲覧することもできる。またTT-RSSは、(既読マークの付いた記事も含めて)変更されたRSS記事にマークを付けて知らせてくれる。したがって例えばブログ記事にコメントが追加された場合やブログ記事の本文自体が更新された場合などにマークが付けられる。なお変更された記事は、さきほど言及した「Updated articles(更新記事)」ラベルの中にリストされる。

 モバイルデバイスからTT-RSSにアクセスしたい場合には、TT-RSSのモバイルインターフェースを使用することができる。モバイルインターフェースにアクセスするには、TT-RSSがインストールされている場所のURLに/mobileを追加する(例えばhttp://yourserver/tt-rss/mobile)だけでよい。

 TT-RSSはデフォルトではシングルユーザモードで動作するが、マルチユーザモードにも簡単に切り替えることができる。マルチユーザモードでは各ユーザがそれぞれ自分のフィードや設定を持つことができる。マルチユーザモードにすると「Preferences(設定)」内の「Other Feeds(他のフィード)」タブ経由で自分以外のユーザのフィードを閲覧/購読することができるので、TT-RSSを一種のフィード共有サービスとして利用することもできる。マルチユーザモードに切り替えるためには、config.phpファイル内のSINGLE_USER_MODEの値を以下のようにしてfalseに設定する。

define('SINGLE_USER_MODE', false);

 なおユーザの管理をするには、デフォルトのユーザアカウント(ユーザ名「admin」、パスワード「password」)を使用してTT-RSSにログインして「User Manager(ユーザ管理)」タブの中の「Preferences(設定)」をクリックすればよい。

 TT-RSSは、RSSフィードの購読だけでなくRSSフィードの生成にも使用することができる。実のところこの機能があるために、TT-RSSはRSSリーダーであるだけでなく真のフィードアグリゲータとなっている。TT-RSSは、カテゴリごとのフィードや、ラベルごとのフィードはもちろん、検索結果のフィードを生成することもできる。これによりどのユーザも、例えば「星付きの記事全部から成るフィード」や、「”Linux” とタグ付けされた記事を集めたフィード」を購読するといったようなことが可能になる。なお生成されたフィードにアクセスするには、フィードのタイトルの近くにあるフィードアイコンをクリックする。

 最後に、TT-RSSのメインウィンドウにブラウザからアクセスすることなく最新のフィードを取得するために利用することができる、TT-RSS用のFirefox拡張を紹介する。この拡張は、TT-RSSディレクトリ内のbackend.phpファイル経由でフィードを取得する。TT-RSSのメインウィンドウにブラウザからアクセスしないでフィードを最新の状態に保つ方法はいくつかあるが、もっとも簡単な方法は以下のようなコマンドを実行することだろう(定期的に自動的に最新の状態に保つためにcronジョブとして実行してもよい)。

wget -q -O /dev/null "http://yourserver/tt-rss/backend.php?op=globalUpdateFeeds&daemon=1"

 なお「yourserver」の部分は、TT-RSSをインストールした実際のIPアドレスやURLに変更しておくことを忘れないようにすること。

ヒント:Firefox内から直接的にフィードの登録を行なうことができるように、TT-RSSをFirefoxのRSSリーダーのリストに追加したいという場合には、TT-RSSのウェブサイトにある手順に従えば行なうことができる。

Dmitri Popovは、ロシア、イギリス、ドイツ、デンマークのコンピュータ雑誌で活躍するフリーランスのライター。

NewsForge.com 原文